1.白血病関連抗原を同定することは重要である。そこで我々はインターフェロンで細胞遺伝学的寛解を得たCML症例の血清からSEREX法を用いた抗原検索を施行した。その結果新たな白血病関連抗原の候補としてheat shock protein familyの一つであるApg-1が同定された。 2.Apg-1蛋白による特異的白血病細胞傷害活性の誘導を試みた。まずin vitro transcript (IVT)mRNA pulseによるCTL誘導実験を試行。Apg-1 cDNAをT7 promoterを有するvectorに組み込み、T7 RNA polymeraseを用いてin vitroでtranscriptionして、できたRNAをelectroporationで樹状細胞(DC)に導入。導入をRT-PCRで確認後導入DCとT cellのco-cultureでCTLを誘導。増殖したCTL lineの細胞傷害活性を解析したが、傷害活性を確認することはできなかった。 3.そこでApg-1アミノ酸配列で、日本人に最も多いHLAのHLA A24結合ペプチドを検索。4種類のペプチドがHLA A24にaffinityを有するとして同定された。これら4種類のペプチドのそれぞれについて、ELISPOT assayとLDH release法を用いたCytotoxicity assayを施行した。その結果ppt4の配列では、白血病細胞株に対してCTL活性が証明された。 4.これらのことからApg-1は液性免疫のみならず、細胞性免疫をも誘導可能であることから、新たな白血病関連抗原の可能性を有する抗原蛋白であることが示唆された。
|