研究概要 |
我々は、平成15年度科学研究補助金を受け、Ras関連蛋白を不活化する第3世代ビスフォスフォネート、Zoledronate(ZOL)の、単剤での抗白血病作用とPhiladelphia染色体(Ph^+)陽性白血病に対するABL特異的チロシンキナーゼ阻害剤imatinib(グリベック)および各種抗がん剤との併用効果について検討した。in vitroにおいて、ZOLは白血病細胞株のRASおよびRapのプレニル化を抑制し、G_1期からG_2/M期に広くアポトーシスを誘導することにより検討したすべてのヒト白血病細胞株の増殖を抑制し、さらにZOL+imatinibはBCR/ABLとRas関連のシグナルを同時にブロックすることでin vitroにおいて著名な相乗効果を示した。in vivoにおいても、ZOLは単剤でも効果を認め、またZOL+imatinibはそれぞれの単剤での効果と比較しても有意差をもって生存期間を延長した。無治療群は全例移植後12週で死亡したが、ZOL+imatinib群では移植後40週でも骨髄、肝脾に白血病細胞を認めなかった(Kuroda et al.,Blood2003)。またZOLは、シタラビン、ダウノマイシン、ハイドレキシアなどの抗がん剤の抗白血病作用を相乗〜相加的に増強すること(Kimura et al.,Int J Hematol2004)、またZOLの作用はp53非依存性であることも明らかにした(Kuroda et al.,Cancer Sci2004)。これら我々の結果を踏まえ、H15年12月よりイギリスにおいて慢性骨髄性白血病患者に対するimatinib+ZOL併用療法の臨床治験が開始され、本研究がトランスレーショナル・リサーチとして大きな貢献をした。
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