研究課題/領域番号 |
15591010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
安倍 正博 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80263812)
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研究分担者 |
尾崎 修治 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90314872)
井上 大輔 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60314853)
松本 俊夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20157374)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 骨髄腫細胞 / 破骨細胞 / 血管新生 / オステオポンチン / IL-6 |
研究概要 |
多発性骨髄腫は進行性の広範な骨破壊をきたし、骨折や高カルシウム血症を併発する予後不良の疾患である。本症における骨破壊は、骨髄腫細胞により破骨細胞の形成・機能が促進しもたらされるが、この様にして形成・活性化された破骨細胞が骨髄腫細胞との接触を介し破骨細胞からのIL-6産生を亢進すると共に骨髄腫細胞の増殖を促進することが明らかになった。この骨髄腫細胞の増殖促進はIL-6の作用を阻害しても部分的にしか抑制されなかったことよりIL-6以外の増殖促進因子の存在が示唆された。その因子の候補の一つとして破骨細胞から多量に分泌される細胞外マトリックス蛋白であるオステオポンチン(OPN)が考えられた。強力な骨吸収抑制薬であるビスフォスフォネートは、直接的なアポトーシスの誘導による抗腫瘍効果を示さない治療投与時の低い血中濃度レベルにおいて骨片上の破骨細胞の形成・機能を著明に抑制し、さらに骨片上の破骨細胞による骨髄腫細胞の増殖促進を完全に抑制した。従って、骨吸収の抑制は単に骨病変の進行防止のみならず、破骨細胞の障害を介して骨髄腫細胞自体の増殖を抑制しうる可能性が示唆された。さらに、OPNは血管新生促進作用も有しており、破骨細胞はOPNを介し血管新生を促進することも示された。興味深いことに破骨細胞由来のOPNは骨髄腫細胞由来VEGFと協調的に作用し血管新生を促進した。従って、骨髄腫細胞により誘導される破骨細胞は、骨破壊を来すのみならず、直接あるいは血管新生の促進を介し骨髄腫の進展も促進する可能性が示唆された。以上の結果より、骨髄腫細胞と破骨細胞は、骨髄内で相互に増殖、活性化を促進することにより、骨破壊性病変を進行させつつ腫瘍増殖を促進するという悪循環を形成していると考えられる。
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