研究課題
基盤研究(C)
血液難病である血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は、(1)細血管障害性溶血性貧血、(2)破壊性血小板減少、(3)血栓による臓器障害の3徴候を共通して持ち、共に血栓性微小血管障害症(TMA)という病態カテゴリーに分類されている。TMAを構成する基礎病態は様々であるが、これらの鑑別診断にvon Willebrand因子切断酵素(別名ADAMTS13)活性の測定は必須である。本研究では、このADAMTS13が関与する病態について以下の11項目を明らかにした。(1)後天性TTP患者に発生するADAMTS13インヒビター(自己抗体)のエピトープはCys-rich/Spacerドメインにある。(2)ADAMTS13にて切断されるVWFの基質最小単位をA2ドメインの73アミノ酸残基(D1596-R1668)に限定した。(3)本邦のTMA解析センターとして643例の同患者検体のADAMTS13解析を行った。(4)本邦のUpshaw-Schulman症候群の患者家系7家系についてADAMTS13遺伝子解析を行い、全例でその異常部位を同定した。(5)血管内リンパ腫にはしばしば血小板減少が合併するが、この機序にADAMTS13インヒビター発生によるTTP病態がある事を明らかにした。(6)胎盤から精製後、cDNAクローニングにてその構造を明らかにしたecto-NTPDase/CD39 isoformは、アデノウイルスベクターを用いてラット平滑筋内に遺伝子導入すると壁血栓形成が阻害される。(7)HCV肝硬変にADAMTS13活性著減と同インヒビター陽性の定型的TTPが合併する事を明らかにした。(8)ADAMTS13の肝臓での産生細胞が星細胞(旧伊東細胞)である事を発見した。(9)難治・再発性TTPの治療に抗CD20キメラ抗体であるリツキサンが奏功する事を症例報告で示した。(10)アルコール肝炎の患者では血中のADAMTS13活性が著減し、UL-VWFM依存性の血小板血栓が出来易い状態となっており、これが多臓器不全の引き金となっている可能性を示した。(11)生体肝移植後間もなく血小板減少を来す症例が多い。この時、血中ADAMTS13活性は著減しUL-VWFMが出現しているため、血小板輸血はむしろ禁忌で、血漿輸注による同酵素補充療法が卓効する事を証明し、「肝移植時の輸血療法」について革新的なEBMを構築した。
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