研究課題/領域番号 |
15591021
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
窓岩 清治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
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研究分担者 |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 教授 (00245044)
坂田 洋一 自治医科大学, 医学部, 教授 (40129028)
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キーワード | 血友病A / 新生児 / 第VIII因子欠損マウス / 免疫寛容 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター |
研究概要 |
生後早期に血液凝固第VIII因子を投与することにより特異的かつ永続的な免疫寛容が誘導される可能性について、血液凝固第VIII因子欠損(血友病A)新生仔マウスを用いて検討した。その結果、生後24時間以内に0.05単位/グラム体重のヒト第VIII因子を経静脈的に投与することにより、暴露抗原(ヒト第VIII因子)特異的な免疫寛容が成立し、その機序がIFN-γ依存性T細胞アネルギーであることを明らかにした。さらに、第VIII因子特異的な免疫寛容をきたした血友病Aマウス由来脾臓CD4陽性T細胞において、CD25(IL-12受容体α鎖)の発現は、第VIII因子単独もしくはIL-12単独刺激を加えても増加せず、第VIII因子とIL-12の共刺激を加えることによってのみ増加した。これに対して、CD154(CD40リガンド)の発現は、第VIII因子とIL-12との両者の刺激を加えても全く増加しなかった。これらの結果から、本モデルにおけるT細胞性免疫不応答の直接的な作用点が、抗原刺激に対するCD40リガンドの機能的な発現亢進の欠落に起因することを明らかにした。 次に、0日齢の新生仔血友病Aマウスに対して、humanα1-antitrypsinプロモーター下流にB領域を除いたヒト第VIII因子cDNAを組み込んだアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)1X10(12)gc/bodyを、0.05単位/グラム体重の第VIII因子とともに経静脈的に投与し、遺伝子導入後の第VIII因子の持続発現およびインヒビター産生の有無について検討した。その結果、観察期間10週齢までにおいて1-2%の第VIII因子が持続産生され、この免疫寛容誘導療法と遺伝子治療法との組み合わせによりインヒビター産生を回避し第VIII因子が持続的かつ安定発現される可能性が示唆された。
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