ヒト白血病で特異的な染色体転座11q23があり11q23転座型白血病群が報告されている。11q23転座で一番頻度が高い転座はt(4;11)(q21;q23)である。この転座によりMLL/AF4融合遺伝子が形成されるが、今までにこのMLL/AF4融合遺伝子のクローニングは報告がなく、造白血病にMLL/AF4融合遺伝子が明らかに関与している報告は今までにない。このMLL/AF4融合遺伝子をもつ白血病細胞株の樹立に成功した。この白血病細胞株よりMLL/AF4融合遺伝子のクローニングをRT-PCR法により行い成功した。MLL/AF4cDNAのサイズは7026bpであった。その癌化機構をIL3依存性樹立細胞株である32D細胞やBa/F3細胞に遺伝子導入しin vitro系で癌化能を検討中である。また、トランスジェニック(Tg)マウス作製に成功し、現在そのTgマウスの表現型を解析中である。Tgマウスではその癌化機構と白血病病型を解明することを目的としている。レトロウイルスを用いた遺伝子導入法により血液幹細胞に導入し移植する方法を用いてMLL/AF4融合遺伝子の造白血病作用を明らかにすることと、分子標的薬の基礎的実験は次年度に計画を立てている。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるpivaloyloxymethyl butyrateやMLL/AF4に競合する特殊なペプチドで選択的にこのMLL/AF4融合遺伝子をもつ白血病細胞株がアポトーシスに導かれることを確認する研究計画をたてている。
|