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2003 年度 実績報告書

プロトロンビンに対する自己抗体のエピトープおよび血栓元性の病態の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15591041
研究機関北海道大学

研究代表者

渥美 達也  北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20301905)

キーワードプロトロンビン / ループスアンチコアグラント / 抗リン脂質抗体症候群 / 血栓症 / モノクローナル抗体 / トロンビン / ホスファチジルセリン
研究概要

昨年までの検討によって、抗リン脂質抗体症候群(APS)と関連する自己抗体して、従来知られていたβ2グリコプロテインI依存性抗カルジオリピン抗体とほぼ同頻度にホスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)が存在することを明らかにしてきた。そこで本研究では、aPS/PTの特性を明らかにして、その血栓原性との関連を検討した。
aPS/PTはin vitroではいわゆる「ループスアンチコアグラント」として抗凝固にはたらくのに、患者体内では血栓傾向と相関することが最大のパラドックスである。そこでマウスをヒトプロトロンビンで免疫し、ホスファチジルセリン-プロトロンビン複合体に反応するモノクローナル抗体(231D)を得た。231Dは、ホスファチジルセリン非依存性抗プロトロンビン抗体陰性、ウエスタンブロット陰性であり、APS患者にみられるaPS/PTのモデルであった。231Dを精製し、トロンビン生成に与える効果をクロモジェニックアッセイで検討した。その結果、全血漿成分が存在する状態では231Dはトロンビン生成を抑制して抗凝固活性を発揮したのに対して、プロトロンビナーゼのみの存在下では231Dは逆にトロンビン活性を亢進させた。このことはaPS/PTがリン脂質とプロトロンビンの親和性を亢進させて凝固反応の上流で利用できるリン脂質の量が減弱する、というループスアンチコアグラント活性の機序の仮説を示唆する。すなわちaPS/PTはトロンビン活性化の条件によりそれを亢進するか抑制するかが異なることを意味し、in vitroと生体内でのaPS/PTの上記パラドックス、あるいはAPS患者が「常に」ではなく「あるとき」血栓をおこす現象に矛盾しない。
さらにトロンビン生成につづいてaPS/PTが細胞を活性化して止血関連分子を誘導することを示してきたが、本年度はその機序を231Dを用いてToll like receptorのトランスフェクト細胞などを材料に詳細に検討中である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Amengual O, Atsumi T, Koike T: "Specificities, properties and clinical significance of antiprothrombin antibodies."Arthritis Rheum. 48. 886-895 (2003)

  • [文献書誌] Amengual O, Atsumi T, Khamashta MA.: "Tissue factor in antiphospholipid syndrome : Shifting the focus from coagulation to endothelium."Rheumatol. 42. 1029-1031 (2003)

  • [文献書誌] Sakai Y, Atsumi T, Itoh T, Koike T.: "Uveitis, pancarditis, haemophagocytosis, and abdominal masses."Lancet. 361. 834 (2003)

  • [文献書誌] Yamada H, Atsumi T, Kato EH, Shimada S, Morikawa M et al.: "Prevalence of diverse antiphospholipid antibodies in women with recurrent spontaneous abortion."Fertil Steril. 80. 1276-1278 (2003)

  • [文献書誌] Li N, Nakamura K, Jiang Y, Tsurui H, Matsuoka S, Abe M, Ohtsuji M, Nishimura H, Kato K, Kawai T, Atsumi T et al.: "Gain-of-function polymorphism in mouse and human Ltk : implications for the pathogenesis of systemic lupus erythematosus."Hum Mol Genet. 13. 171-179 (2004)

  • [文献書誌] Yasuda S, Atsumi t, Ieko M et al.: "Nicked beta2-glycoprotein I : A marker of cerebral infarct and a novel role in the negative feedback pathway of extrinsic fibrinolysis."Blood. (in press).

  • [文献書誌] 渥美達也: "3章.抗リン脂質抗体症候群"リウマチ・膠原病診療チェックリスト(三森経世編)(文光堂). 264-270 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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