研究目的: 関節リウマチ(RA)における続発性アミロイドーシスの合併は生命予後に大きく関わるため、合併の早期診断や病態評価の観点から、その合併や臨床経過における遺伝要因について検討する。 対象と方法: 脳アミロイドーシスや透析アミロイドーシスの遺伝要因として報告されているアポリポ蛋白E(ApoE)の表現型、遺伝子型について、アミロイドーシス合併RA68例と合併のないRA144例の血清を用いて、等電点電気泳動法で解析した。 結果: ApoE4の陽性頻度は、合併群が26.5%(18/68)、非合併群が14.6%(21/144)であり、合併群で有意に高い頻度であった(P=0.037)。また、ApoE4陽性RAは陰性RAに比べて、RA発症からアミロイドーシス合併までの期間が短い傾向であった(11.9年:15.4年、p=0.097)。さらに、合併群の中では、ApoE4陽性群が陰性群に比べて透析導入例(69%:40%、p=0.054)や死亡例(75%:45%、p=0.042)の割合が多かった。 考案: RAアミロイドーシスの遺伝要因としては、血清アミロイドA蛋白(SAA)の遺伝子多型も報告されている。SAAの遺伝子多型は重篤な消化管障害との関連が報告されているが、今回のApoE4では腎障害との関連が示唆され、各種の遺伝要因が異なった臓器障害と関連する可能性が示唆された。これらの検討により、合併のハイリスク例や予後不良例を早期に特定し、各種対策を早めに講じることにより、臨床経過や予後の改善が期待される。今後は、より多数の症例を長期的に検討し、ApoE4の臨床的意義を確固たるものにする必要がある。組織学的なアミロイド沈着量や沈着様式の差異の検討も重要と思われる。 結語: RAにおけるアミロイドーシス合併の遺伝要因として、ApoE4の重要性が確認され、ApoE4は腎障害の重症化や生命予後とも密接に関係することが解明された。
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