研究課題/領域番号 |
15591054
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小柴 賢洋 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70301827)
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研究分担者 |
熊谷 俊一 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00153346)
中村 肇 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70303914)
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キーワード | アデノシン / 関節リウマチ / 酸化ストレス / チオレドキシン / 動物モデル / 遺伝子導入マウス |
研究概要 |
本研究は、関節リウマチ(RA)の病態における酸化ストレスの関与をin vivoで明らかにし、抗酸化物質を用いたRAの新しい治療法の可能性を明らかにすることを目的とした。生体内に存在する抗酸化物質であるチオレドキシン(TRX)を遺伝子導入して高発現させたマウス(TRX-Tg)に抗II型コラーゲンモノクローナル抗体カクテルを投与してリウマチ様関節炎を誘導したところ、野生型マウス(Wt)に比べ発症が数日遅くなり関節炎の程度も有意に低かった。次にWtに関節炎を誘導しTRXを連日投与してその効果を検討したところ、TRX-Tgの場合と同様に有意な関節炎の発症遅延と炎症の軽減が観察されたが、その抗関節炎効果はTRX-Tgに比べて弱かった。組織学的検討から、TRXは関節局所への炎症細胞浸潤を軽減し滑膜細胞増殖を抑制すると同時に関節軟骨細胞のアポトーシスも防ぎ、これらの相乗効果として関節炎ならびに関節破壊を抑制することが明らかとなった。すなわちマウス関節炎モデルにおいてはその発症進展に酸化ストレスが関与しており、十分量の抗酸化物質の投与により関節炎の発症進展が抑制されることがin vivoで示された。RA患者においても酸化ストレスがその病態に関与していることが示唆されているが、今回我々の研究から抗酸化物質が新たな抗リウマチ薬となる可能性が明らかとなった。現在RAの第一選択薬として世界的に臨床応用されているメトトレキサート(MTX)の抗リウマチ作用は細胞外アデノシン(Ado)増加によることが報告されている。Adoは好中球を抑制することからAdoがTRXを介して作用している可能性が考えられるが、今回RA患者由来滑膜細胞株で検討した限りではAdoアナログによるTRXの増加は認められなかった。
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