研究課題/領域番号 |
15591057
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
小荒田 秀一 佐賀大学, 医学部, 助手 (50304887)
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研究分担者 |
多田 芳史 佐賀大学, 医学部, 講師 (70284627)
長澤 浩平 佐賀大学, 医学部, 教授 (00108721)
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キーワード | RP105(CD80) / SLE / B細胞 / 免疫学的治療 / シェーグレン症候群 / 皮膚筋炎 / Toll-like receptor / 自己免疫疾患 |
研究概要 |
正常B細胞はRP105陽性であるが、SLEのB細胞はRP105の発現が低下する。SLEではP105陰性B細胞数は疾患活動性と相関し活動性マーカーとして有用である。RP105陰性B細胞のフェノタイプは、細胞径増大、CD95陽性、CD86陽性で、活性化B細胞の性質を示し、糖質ステロイドによるアポトーシスが起こりやすい。また、RP105陰性B細胞は、抗ds-DNA抗体の産生を行い、病因と関連する。RP105陰性B細胞の増加は、シェーグレン症候群と皮膚筋炎でもみられる。シェーグレン症候群における唾液腺組織浸潤B細胞や皮膚筋炎の間質性肺炎のB細胞も、RP105陰性であった。RP105陰性B細胞自体が炎症の形成に重要である可能性がある。また、抗核抗体陰性のSLEで、有意なマーカーがない場合も、RP105陰性B細胞の増加がみられ、診断の参考となる。RP105陰性B細胞は単純なB細胞刺激やウイルス感染では誘導できず、T細胞刺激を介した共刺激やB細胞刺激因子(BAFFやAPRIL)が重要である点も解明された。 以上の成果より、RP105陰性B細胞を標的として、自己抗体産生を抑制できる可能性が示唆された。RP105陰性B細胞は通常のB細胞と比較して、BAFF・APRILによる反応に差があり、正常B細胞と異なる分化・活性化・生存の制御機構が存在する可能性がある。RP105陰性B細胞では、フェノタイプも正常B細胞とは異なる。このようにRP105陰性B細胞と正常B細胞の間には、B細胞刺激に対する反応性やフェノタイプに大きな差が存在する。今後は、RP105陰性B細胞を除去できるようなRP105陰性B細胞に特異的に発現する分子の同定を行うことが必要となる。このようなRP105陰性B細胞特異的分子を標的とした免疫学的特異的治療法を考慮する段階にいたっている。
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