研究概要 |
続発性アミロイドーシス(AA-アミロイドーシス;ア症)の発症率には人種差があり、日本人では欧米人よりも高頻度にみられる。われわれは関節リウマチ(RA)に続発した本症患者の遺伝子を検討し、SAA1遺伝子のexon3多型であるSAA1 γ alleleやプロモーター領域の-13Tが本症発症の危険因子であることを報告した。しかしフィンランド人やトルコ人の遺伝子を検討した結果、これのみでは人種差を説明できなかった。2002年にアミロイドの共沈着物質である血清アミロイドP蛋白(SAP)とアミロイド結合のinhibitorである化合物CPHPC投与によるア症の改善が報告された。これはSAPがアミロイド沈着において重要な役割をもつことを示すと考えられた。 本研究ではア症発症におけるSAPの関与につき、SAP遺伝子多型とSAA1遺伝子多型との関連から解析中である。データペースよりSAPのSNPsitcを探索し、以前にRFLPの報告されているMSP I site(exon 2)とプロモーター領域のSNP(JST106829)を同定した。対象はRA続発性ア症73例と正常74例。またSAA1遺伝子に関しては-13C/T,2995C/T,3010C/Tを解析した。 exon2,MSP I siteは日本人では97%以上にみられ、ア症と対照で差はなかった。JST106829多型の遺伝子頻度にもア症と正常で差はなかったが、SAA1遺伝子型別に検討するとSAA1βallele陽性ア症でJST106829多型に正常群と有意差がみられた。またCaucasian正常コントロールと比較すると日本人のJST106829多型の頻度は有意に異なっていた。このようにSAP多型の人種差とSAA1多型によるSAP多型頻度の違いがみられ、アミロイドーシス発症への関与につきさらに検討が必要であると考えられた。
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