研究概要 |
本研究は思春期発現時期を規定している遺伝的条件を明らかにすることにある。思春期の発現と二次性徴の維持は視床下部-下垂体-性腺系が主要な役割を果たしている。その軸のなかで中心になるのはGonadotropin-releasing hormone(GnRH)、LH/FSH(luteinizing hormone/follicle-stimulating hormone)と性ステロイドであり、それらの分泌様式が思春期を規定していると推測される。さらにこの分泌様式を規定するものに関わる因子として時計遺伝子を想定することができる。 研究初年度は患者検体とその臨床情報を収集した。現在までに思春期発現が早発傾向にある小児34名、思春期発現が遅発傾向にある小児22名から、本人と保護者の同意のもとで検体を採取した。さらに正常成人32名を対照として測定検体を準備した。 次にGnRHとLH/FSHをコードする遺伝子、さらに性ステロイド産生に関わる遺伝子群(HSD17B3遺伝子CYP3A4,CYP17,CYP1B1やCYP1A2遺伝子)と体内時計を司ると言われる遺伝子群(clock,per1,per2,per3,dec1,dec2,BMAL1,cry1,cry2)を対象にして、SNPデータベース(http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp/やhttp://www-ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)から検索対象となるSNPを定め、連鎖平衡を表す指標であるr2とD'をEMアルゴリズムによって算出し、ハプロタイプの構築に適切なSNPを同定した。 今後、これらを基にして対象群間のハプロタイプ頻度に差があるかを検討し、思春期発来を規定する遺伝的条件を明らかにすることができる。
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