研究課題/領域番号 |
15591086
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斉藤 真木子 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20225733)
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研究分担者 |
久保田 雅也 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90251272)
岩森 正男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90110022)
榊原 洋一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10143463)
市堰 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20282650)
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キーワード | Zellweger症候群 / Pex5 / ZP102細胞 / 膜流動性 |
研究概要 |
Zellweger症候群をはじめとするperoxisome biogenesis disorders(PBD)ではPex遺伝子の変異によって様々な生化学異常と多彩な臨床症状を呈する。私達はPex5変異によるペルオキシゾーム欠損ZP102細胞を用いて脂質代謝変化および、膜流動性変化について検討した。ZP102細胞では対照のCHO-K1細胞と比較し、糖脂質のセレブロシドが増加し、また、中性脂質のトリアシルグリセロールの減少、および遊離脂肪酸の有意な増加を認めた。各リン脂質の総量の変化は認められなかった。つぎに、核脂質分画の脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーで分析したところ、遊離脂肪酸分画でZP102細胞では飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸比が対照と比べ減少し、トリアシルグリセロールではこの比は増加していた。各脂肪酸がどのように脂質分画へ取り込まれるか検討するため、[14C]ラベル脂肪酸を培地に加えたところ、ZP102細胞において、ラベル飽和脂肪酸はスフィンゴミエリンおよびセレブロシド分画へより多く取り込まれた。また極長鎖脂肪酸であるリグノセリン酸はパルスラベル実験により、24間後も主にスフィンゴミエリン生成に利用されることが明らかとなった。蛍光プローブのDPHを用いた膜流動性変化の測定ではZP102細胞で有意の蛍光偏光度の増加を認めた。Pex5遺伝子変異によるこれらの脂質代変化、特に館和脂肪酸のスフィンゴ脂質への取り込みの増加がZP102細胞における膜流動性の低下を引き起こし、これがPBDの細胞膜に関連する様々な機能障害をもたらすものと考えられた。
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