研究課題
我々は昨年度までにヒト臍帯血内に、血液細胞と内皮細胞の両者に発現するTEKとCD34に注目し、CD34+TEK+細胞とCD34+TEK-細胞を虚血マウスモデルに移植し、それぞれの内皮細胞への分化能を比較することにより、臍帯血中に存在するヘマンジオブラストについて解明してきた。本年度は臍帯血中に存在する細胞の遺伝子発現などから、臍帯血細胞のポテンシャルの解析を行っている。臍帯血移植後の造血再構築パターンは骨髄移植後と異なることが知られている。血球細胞の分化・増殖には多くの因子が関与しているが、我々はステロイドレセプターの発現に着目した。マウスの実験により、胎児幹細胞にはエステロゲンレセプター(ER)は存在しないが、出生後のCD34陽性細胞にα→βの順に発現することが知られている。さらにERはマウスでは主に顆粒球・リンパ球などの分化・増殖に対して負の制御をすると考えられている。我々はERα、βの遺伝子発現をreal-time PCRで定量的に測定する系を確立し、臍帯血単核球と白血病などの細胞株と発現を比較し次のような結果を得た。ERαは殆どのB細胞系の白血病細胞株に発現しているが、ERβはDaudi細胞など成熟傾向のあるリンパ系細胞のみに強く発現していた。また、臍帯血単核球では測定限界の低量でα有意に両者の発現が認められた。さらに、我々は幹細胞を無血清下で培養する系を確立するために、臍帯血とHESS-Vによる共培養実験を行った。臍帯血より得られたCD34陽性細胞はHESS-Vを用いることにより、約3週間までは分化することなく維持培養できることがわかった。現在、これらの系を利用して、ステロイドや造血因子などの添加による臍帯血単核球の性状変化、ステロイド受容体発現遺伝子を導入による変化などの実験を行い、臍帯血のポテンシャルを検討を行う予定である。
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