研究課題
基盤研究(C)
この研究ではKu70/80の免疫グロブリンクラススイッチ、リンパ系悪性腫瘍発生における役割を検討した。そのために私たちは、Ku70がどのように修飾され、どのように分解されるか、Ku70/80とHMGファミリータンパクの会合とその生理学的意義、DNA-PK依存性にV(D)J再構成に関与するArtemisのDNA切断修復における機能、さらには抗アレルギー薬がクラススイッチを抑える機構などについて検討を加えた。私たちのデータからはまずKu70/80が膵臓腺房細胞が酸化ストレスを受けたときに核内で分解され、またimportin-βとの会合も消失することが明らかになった。分解はカスパーゼ3及びカルパインに依存性であった。以前にKu70/80がCD40の細胞内領域と会合していることを明らかにしたが、今回の検討で、HMGタンパクのいくつかとも実際に会合していること、その会合はTCF1依存性の転写に重要であることが明らかになった。会合部位としてはKu80のC末端部分が重要であることを示している。Artemisに関する研究では、細胞が電離放射線を受けた際に、ArtemisがATM及びNbs1依存性に高度にリン酸化されること、S645がそれに関与していることを明らかにした。ArtemisはDNA-PK依存性にV(D)J再構成のヘアピン開裂に関与しており、Ku70/80がArtemisによるDNA切断修復に関与している可能性がある。さらに私たちは、ある特定の抗アレルギー薬が免疫グロブリンクラススイッチを抑制することを示した。Ku70/80が核内移行阻害により、抑制がかかっている可能性があり、さらに検討を進めているところである。これらの研究結果により、Ku70/80は免疫シグナル伝達および、DNA切断修復におけるシグナル伝達に関与することがわかり、その詳細な機構についてさらに検討を行いたいと考えている。
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