受精後10日目のマウスおよびラットの胎児の頭部組織を採取し、これをトリプシン処理によつて細胞を分散させた。この胎児頭部組織を血清存在下でコートしていない培養皿を用いて5-6時間培養後、浮遊細胞を集めさらにパーコール密度勾配遠心法によって神経幹細胞を集めることができた。またこの細胞は神経幹細胞のマーカーであるネスチンを発現していることを確認した。極めて高濃度の塩基性線維芽細胞増殖因子および上皮細胞増殖因子等の因子を加えた無血清培地を用いて、この神経幹細胞をバクテリア用の培養皿上で完全に浮遊させて培養させ増殖させることに成功した。これらの方法を用いてEnhanced green fluorescence protein (EGFP)遺伝子を導入したマウスおよびラットから神経幹細胞を採取し移植に必要な細胞数を集めることができた。またこの細胞が蛍光顕微鏡下で発色することを確認した。来年度はEGFPマウスから採取した神経幹細胞をExperimenral autoimmune encephalomyelitis (EAE)を誘導したマウスに脳内へ移植あるいは血管内へ注入することによってEAEの臨床症状が改善するかどうかについて検討し、さらに心室からホルマリン緩衝液を還流させて組織を固定し病理組織を採取して、EGFPマウスの神経幹細胞が中枢神経系への生着する可能性について解析する予定である。
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