研究課題/領域番号 |
15591099
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小池 健一 信州大学, 医学部, 教授 (40143979)
|
研究分担者 |
坂下 一夫 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (10345746)
上條 岳彦 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (90262708)
|
キーワード | 骨髄異形成症候群 / 若年型慢性骨髄性白血病 / GM-CSF / メチル化 / DNMT |
研究概要 |
骨髄異形成症候群(MDS)は、血球減少と形態異常により診断される原因不明の造血障害である。最近、若年型慢性骨髄性白血病(JMML)は、小児におけるMDSの1型と考えられるようになった。近年、メチル化などエピジェネティクスを介した遺伝子発現の調節機構が注目され、生命現象や疾病の発症に関与していることが明らかとなってきた。すなわち、CpG islandが豊富なプロモーター領域を有する遺伝子において、シトシンのメチル化が生じると、転写因子がDNAに結合しにくくなり、転写は阻害される。われわれは骨髄系細胞の増殖過程において、細胞周期調節遺伝子であるp15のプロモーター領域のメチル化が重要な役割を演じていることを報告した。そこで、JMML症例におけるエピジェネティクな異常の有無を検討した。CD34陽性細胞と培養7日目の細胞からDNAを抽出し、sodium bisulfite処理を行った。p15遺伝子のプロモーター領域におけるCpGを含まない部分(メチル化を受けない領域)にプライマーを設定しPCRを行い、得られたPCR産物をクローニングし、各々20クローンについてsequenceを行い、メチル化率とパターンを比較した。CD34陽性細胞を分離しp15のメチル化を検討したところ、6症例中、5例においては低メチル化状態であった。GM-CSFで培養し7日目のメチル化状態を検討したところ、正常骨髄細胞では50〜70%の割合でメチル化が誘導されたが、JMMLではすべての症例が低メチル化状態であった。急性骨髄性白血病ではDNMTsの過剰発現がメチル化に関与していることが報告されていることから、培養7日目においてDNMTsの発現を検討した。DNMT1はGAPDHで補正すると過剰発現が観察されたが、PCNAの増殖の指標で補正すると有意差は消失した。DNMT3a,3bは正常、JMMLともに非常に低発現であった。以上のことか、7日目の低メチル化状態をメチル化酵素で説明するのは困難であり、他の原因を検討中である。
|