平成15〜16年度の成果と課題について 本研究では近年造血細胞移植の新たな移植として臍帯血移植がすすめられているが、その欠点である細胞数不足を補う目的で複数臍帯血移植についての研究を行った。 1.最初にBALB/cマウスをレシピエントとしてB6およびC3Hの2系統のH-2の違うマウスの骨髄を放射線照射後のマウスに移植を行ったところ、2系統とも生着が脾コロニー形成能で証明された。つづいて新生児マウスの肝細胞を使い同様な系で移植を施行したところ、同様に2系統とも生着がみられた。 2.生着したマウスの移植後1ヶ月および2ヶ月の末梢血をフローサイトメーターを使用してキメリズムを解析したところ、2系統のドナーリンパ球のポピュレーションが認められた。その分画のうちT細胞を詳しく解析したところ、CD25/CD4 Tである調節性T細胞の存在が認められた。今後生着率との関連を調べることでその関与を解析可能と考えられた。 3.2系統のドナーが生着した移植後4ヶ月のマウスの脾細胞を採取して、混合リンパ球培養を行ったところ、2系統のH-2に対する3H-thymidineの取り込み能がいずれも低下しており、トレランスが誘導されていた。今後例数を増やして検討を重ねる必要がある。 4.更にトレランスの検証をすすめるとともに調節生T細胞の関連機序について研究をすすめる課題が残された。
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