研究概要 |
ヒト骨髄より単核細胞を分離後、間葉系前駆細胞あるいは造血前駆細胞の発現に関係していると考えられているCD34抗体、c-Kit抗体、CD38抗体、ABC-G2、CD45、抗glycophorin A抗体を用い、FACS Vantageにて細胞を純化した。また,SP細胞はHoechst33342による超生体染色を行い紫外部レーザーを用いて同定した。骨髄細胞中でのCD45陰性,glycophorin A陰性,ABC-G2陽性細胞の比率は0.001%以下であった。これはSP細胞の陽性比率とほぼ同程度であり,SP細胞とABC-G2陽性細胞の関係の検討を行っている。CD45陰性,glycophorin A陰性,ABC-G2陽性細胞を純化,ソートし低糖濃度培地、各種分化因子、造血因子等の強化培養液を用いて分化誘導を行った。培養後に細胞を収集し、組織特異的と考えられている抗体を用いて細胞の同定を行っている。現在、細胞の同定を蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡を利用して、その特異性の検討を開始している。 培養後の一部の細胞は免疫不全マウス(NOD/SCID/β_2-microglobulin^<null>)への異種間移植を行いヒト細胞の同定を試みている。移植後1か月、3か月でマウスより、骨髄、脾臓の造血組織、骨、軟骨よりのヒト細胞の組織分布を検討している。造血組織では、移植後1,3か月後ともにヒト細胞を確認することは出来ているが、1か月が約1%、3か月で2%とヒト細胞の同定比率は非常に低い。現在,移植前処置の改良、ならびに低年齢マウスへの移植の試みを行っており、安定したヒト・マウスの異種間移植が成立するための検討を行っている。
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