CML細胞における転写因子Bach2の役割についての基礎的研究として、Bach2の核内動態についての詳細な解析を行なった。その結果、酸化ストレスによりBach12が細胞質から核に移行し、核内ドメインPMLボディの近傍あるいはPMLボディを取り囲むように核内フォーカスを形成し、PMLボディ近傍の転写活性を抑制すること、Bach2フォーカスの局在の制御にはBach2のタンパク質修飾が必要であることを明らかにし報告した。また、CML細胞株ではSTI571添加によりBach2の発現が誘導されること、Bach2遺伝子の核内局在が変化することを明らかにし、第45回小児血液学会で報告し、現在論文投稿準備中である。一方、IFNα添加ではCML細胞株におけるBach2の発現は誘導されず、またSTI571とは相加効果が認められた。 CML症例の臨床検体を用いたAbl遺伝子点突然変異の検出法を確立するとともに、臨床検体の収集も開始した。 抗腫癌療法によるDNA損傷の修復機構と細胞死誘導機構の関連を解明するため、本年度は放射線照射後のDNA修復関連タンパク質Rad51が形成する核内フォーカスと細胞死誘導に関与するとされているPMLボディの局在の関連を解析し、致死的な放射線照射ではRad51フォーカスとPMLボディの共局在が認められるが、修復可能な条件では共局在が認められないことが明らかになった。 さらに、Bach2と同様な構造を示し、酸化ストレス応答の制御に関連するBach1の機能解析を行い、報告した。
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