研究課題/領域番号 |
15591125
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田中 あけみ 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30145776)
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研究分担者 |
前田 光代 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40122080)
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キーワード | ES細胞 / グリア前駆細胞 / 細胞治療 / ライソゾーム病 / β-ガラクトシダーゼ欠損マウス / 遺伝性神経変性疾患 |
研究概要 |
細胞を介して物質を脳内に補填することを主眼とした脳治療を目指し、これに適した治療用細胞株の樹立を目的として研究を始めた。ES細胞をグリア前駆細胞に分化させることに成功した。ES細胞は、LIFを除いてinsulin、transferrin、fibronectinを加え培養し、embryoid bodyを形成する。その後、トリプシン処理にて細胞をばらばらにし、insulin、transferrin、progesterone、putrescine、lamininを加えて培養を続ける。これをサブカルチャーした後、basic fibroblast growth factor(FGF2)とepidermal growth factor(EGF)とを加えて培養する。これをさらにサブカルチャーし、FGF2とplatelet-derived growth factor(PDGF)を毎日添加しながら培養すると、突起の形成が始まる。この細胞をA2B5、GFAP、O4などに対する抗体染色にて分化を判定する。グリア前駆細胞に分化した細胞を欠損酵素の補填のため、ライソゾーム病モデルマウスである生後2週間のβ-ガラクトシダーゼ欠損マウスの脳室内に投与した。脳内への細胞の生着を確認するため、投与1週間後にマウスを屠殺し、脳組織切片を用いてβ-ガラクトシダーゼ活性染色とβ-ガラクトシダーゼmRNAに対するin situ hybridizationを行い、さらに脳組織を各部分に分けて各々のβ-ガラクトシダーゼ活性を測定した。いずれの方法においても、投与した細胞の生着を確認できなかった。理由は、方法の感度によるものか、投与した細胞が死滅してしまったのか不明であった。次に、生後2日以内の新生仔マウスの脳室内に投与した。1週間後に屠殺し、脳組織を検索した。β-ガラクトシダーゼ活性染色陽性の細胞塊をわずかに認めた。
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