研究分担者 |
小倉 壽 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10115222)
服部 英司 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70244639)
山野 恒一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20093172)
綾田 稔 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90222702)
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研究概要 |
我々のこれまでの研究結果から,亜急性硬化性全脳炎患者脳より分離した麻疹ウイルス変異株(SSPEウイルス)が,Vero細胞上で麻疹ウイルス野外株リセプターであるSLAM(CD150)や麻疹ウイルスワクチン株リセプターであるCD46とは異なる第3のリセプターを利用している可能性が示唆された。本研究では,この可能性をより確かなものにすることを,さらにはその分子をクローニングすることを目的としている。 今年度の研究においてなし得たことは,以下の通りである。 1.VSVシュードタイプシステムを利用したウイルス・エントリ・アッセイにより,すなわちphenotype mixingによりSSPEウイルスエンベロープを持ったVSVΔG*-GFP(GFP(green fluorescence protein)遺伝子を持ったG遺伝子欠損VSV)を作製し,これらのVSVシュードタイプを4種の細胞(Vero細胞(CD46+,SLAM-),B95a細胞(CD46-,SLAM+),CD46発現CHO細胞(CD46+,SLAM-)およびSLAM発現CHO細胞(CD46-,SLAM+))に感染させ,あるいは,さらにSLAMおよびCD46特異抗体存在下で感染させ,GFPの発現の有無を倒立型蛍光顕微鏡下で観察することによりSSPEウイルスのリセプター利用度を評価した。その結果,SSPEウイルスはSLAMを利用できるがCD46は利用できないこと,これら両者以外の新たな細胞表面分子もSSPEウイルスのエントリに関わっていることが判明した。また,この第3の分子はヒト神経芽細胞腫由来細胞やヒトグリオーマ由来細胞にも発現していることが判明した。 2.SSPEウイルスは細胞遊離ウイルスをつくらないので,サイトカラシンD処理により細胞遊離のシュードビリオンを強制的に作製し,上記と同様の実験が進行中であり,ほぼ同様の結果が得られつつある。
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