研究課題/領域番号 |
15591140
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
丸 栄一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80221597)
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研究分担者 |
山形 要人 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経薬理学, 副参事研究員 (20263262)
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キーワード | 欠神発作 / 過分極賦活型チャネル / ラット / spike and wave discharge / HCN2 subunit / ZD7288 / γ-hydroxybutyric acid / 免疫染色法 |
研究概要 |
てんかん発作、とくに欠神発作(absence seizures)の発現において過分極賦活型チャネルが如何なる役割を果たしているかを明らかにするため、以下の2つの実験を行い、次の結果を得た。 1.扁桃核キンドリング発作の発現における過分極賦活型チャネルの役割:1日6回1時間間隔でラットの扁桃核を電気刺激して後発射(AD)を誘発し、急速形成キンドリング動物を作成した。過分極賦活型チャネル拮抗薬ZD7288(1mM、4μL)を脳室内投与した30分後に扁桃核にキンドリング刺激を与え、誘発されたAD持続時間に対するZD7288の効果を検討した。生理食塩水投与群の平均AD持続時間は29.3±5.6秒、ZD7288投与群では35.7±4.1秒であり、有意差は無いものの、ZD7288は発作持続時間を延長する傾向を示した。 2.欠神発作の誘発による過分極賦活型チャネル発現の促進:48時間間隔で2回、γ-butyrolactone(GBL:100mg/Kg)を腹腔内投与して欠神発作を誘発し、過分極賦活型チャネルの発現をそのサブタイプであるHCN2の抗体を用いて、免疫組織化学的に検討した。欠神発作の誘発により視床腹内側核および外側膝状体核でHCN2陽性細胞数は有意に増加した。また、海馬CA3野においても、優位さは認められないものの、HCN2陽性細胞数の増加傾向が認められた。さらに、ZD7288(1mM、4μL)の脳室内投与により、ラット10匹中2匹において視床脳波および皮質脳波で棘徐波複合の出現が観察された。 以上の結果は、過分極賦活型チャネルが、発作発現を促進するものではなく、欠神発作の発現に対して抑制的な役割を果たしている可能性を示唆するものである。現在、慢性電流源密度解析を用いて、視床脳波および行動に対するZD7288長期脳室内投与の効果を検討中である。
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