研究課題/領域番号 |
15591145
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田端 信忠 近畿大学, 医学部, 講師 (40298948)
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研究分担者 |
宮澤 正顯 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
阿部 弘之 近畿大学, 医学部, 助手 (80309335)
竹村 司 近畿大学, 医学部, 教授 (40227054)
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キーワード | ヒト内在性レトロウイルス / gp70 / 自己抗体 / 糸球体腎炎 / 全身性ループスエリテマトーデス / ループス腎炎 |
研究概要 |
ヒトの自己免疫病、特に全身性ループスエリテマトーデス(SLE)や関節リウマチの病因に、染色体上に多数存在しているヒト内在性レトロウイルス(HERV)の遺伝子産物が自己抗原として関与する可能性が以前から指摘されている。しかし、これまでに病因に関与するHERVを確実に同定した報告はない。 こういった中で、我々はHERVが原発性糸球体腎炎の病因である可能性を検討してきた。この課程で、マウス内在性レトロウイルスenv遺伝子産物gp70に対するマウス自己抗体が約30%のヒトIgA腎症の糸球体組織に顆粒状の沈着物を染め出す事実を発見してきた。 この抗gp70自己抗体が認識する抗原構造を決定するマウスレトロウイルスenv遺伝子断片をプローブとして健常人とIgA腎症患者ゲノムDNAのSouthern blotting解析を行った。その結果、調べた全てのヒトで多形性を示す少数の明瞭なバンドを認めた。現在までに、ゲノムDNAからファージライブラリを構築し、Southern blotting解析で検出された遺伝子をクローニングする過程で、10数個の陽性クローンを見出した。さらに我々は、これらのクローンから、625アミノ酸から成る完全型新規内在性レトロウィルスenv遺伝子産物をコードするopen reading frame(ORF)を有する塩基配列を同定した。このORFを発現する組換えワクシニアウイルスを作製し、サルCV-1細胞に感染させるシステムを確立しつつある。 以上の実験成果を基にして、ヒトSLEの発症にも「抗マウスgp70自己抗体が反応する自己抗原」と推測される新規内在性レトロウイルスenv遺伝子産物が関与するか否かをSLE患者血清との反応性を指標として検討している。
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