我々の研究の目的は、水疱帯状疱疹ウイルス(VZV)のレセプターを見つけることである。以前の研究によって、我々はレセプターのリガンドと考えられるウイルス表面にある糖蛋白が、野生株とワクチン株の比較において遺伝子レベルで同一であることを確かめた。VZVは細胞フリーなウイルス粒子を得ることは困難であるので、VZVワクチン株を用いて検討した。今回、以前の研究からもっとも有力なレセプター候補と考えていたモノクローナル抗体CD45ROを用いて、リンパ球とVZVを7日間混合培養し、その占める%の変化を調べた。またフローサイトメトリーによるソーティングを行ない、その細胞群陽性群と陰性群から遺伝子抽出後realtime PCRを行い、VZV遺伝子とRNase Pとの比を出し比較した。その結果、短期培養によるCD45ROサブセットの変化は、未感染者では減少したが、一方、既感染者では増加し、結果は一定ではなかった。その理由として、既感染者においては、CD45ROはメモリー細胞であるために増加したと思われた。次に、ソーティング後のrealtime PCRでは、CD45RO(+)と(-)の細胞群の間でVZV/RNase Pの比において有意な差はなかった。そのため、CD45RO細胞群はVZVのターゲット細胞でもなく、レセプターである可能性は低いと考えられた。
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