本年度の実験は、(1)ヒトリンパ球に水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)を感染後モノクロナール抗体を用いてフローサイトメトリーで細胞群に分け、ウイルス量をリアルタイムPCRでVZV DNA量を定量し、ターゲット細胞を見つけようとした。(2)もう一つの検討課題として、リンパ球表面においてVZV感染後どのように変化するかをみることでリセプターの可能性を探ろうとした。 ウイルスリセプターの可能性のあるものとして、今回はモノクロナール抗体CD2、CD3、CD4、CD18、CD29、CD44、CD45ROを想定した。リンパ球の10^5個のVZV DNAの遺伝子量を定量した結果、CD44とCD45ROが高値であったので、その陽性群と陰性群に分けて定量したが、両群で有意差はなかった。上記のすべてのモノクローナル抗体でソーティングして検討すると、CD2において差がみられた。 つぎに、ターゲット細胞であるとdownregulationするので、リンパ球を約1週間の短期培養を行い、VZV感染後3日ごとにCD2のモノクローナル抗体でdownregulationの有無を調べた。しかし、とくにdownregulationを表さなかった。また、それぞれのモノクローナル抗体においてその有無を調べたが明瞭な結果を得られなかった。しかし、興味深いことに抗体陽性群と抗体陰性群ではCD45ROの反応が異なり、抗体陽性群では感染後メモリー細胞として立ち上がってくることが証明できた。
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