研究課題/領域番号 |
15591148
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
芳野 信 久留米大学, 医学部, 教授 (40080569)
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研究分担者 |
原田 英明 久留米大学, 医学部, 助手 (90309790)
渡辺 順子 久留米大学, 医学部, 助手 (40258489)
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キーワード | オルチニントランスカルバミラーゼ欠損症 / スクリーニング / 発症予防 |
研究概要 |
ヒト ornithine transcarbamykase(OTC)遺伝子のR40H変異の検出法につき、検討を加え、PCR及び制限酵素による消化で同変異が検出できる(gain of site)ことが確認できた。現在、多数検体の処理に適する改善法を検討中である。また、本方法のマス・スクリーニングへの適応を可能にするために遺伝情報の扱いに関する学会の提言や法律などの改正に伴い、それらに適合する説明と承諾の獲得システムを整備中である。 また、上記と平行して男子OTC欠損症患児(者)の遺伝子解析を実施、男子遅発例でY55D、R277W、R40Hなどの変異が同定された。これらの変異は、われわれや他の研究者がすでに報告している変異である。いっぽう、新生児期発症例では、T343R、I261Tなど、過去に報告のない変異が検出された。OTC欠損症の遺伝子変異は一般的には家系毎に異なる、いわゆるprivate mutationが多いが、男子遅発例に関しては上記のように異なる家系で同じ変異が検出されたことは、遅発例では生殖適応度が高いため、その変異遺伝子が集団の中で保存されやすく、集団内で拡がりやすいことが伺われた。さらに、同じ変異を持つ遅発例でも発症時期が成人から小児期まで多様であり、発症には遺伝子変異以外の要因の関与がかなり大きいことが伺われた。 また発症予防、治療面では、充分な熱量の投与によって遊離アミノ酸の同化促進を図る試みは従来から理論的には考えられていたが、ブドウ糖を主体とした計算された適切な熱量投与が有益であることを臨床研究から明らかにしつつある。
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