L1蛋白の6番目のイムノグロブリンドメインのみを欠如したノックインマウス(B6-6D on C57BL/6 genetic background)およびL1ノックアウトマウス(B6-L1KO on C57BL/6 genetic background)胎仔脳の形態学的解析には、胎齢12.5日、16.5日の胎仔を対象とした。胎齢12.5日、16.5日の胎仔を摘出し、羊膜からDNAを抽出、通常のPCR法で各胎仔のgenotypeを決定した。胎齢12.5日におけるB6-6Dマウス(-/Y)の発生率は、-/Y:+/Y&+/+:-/+=15%:70%:15%、B6-L1KOマウス(-/Y)の発生率は-/Y:+/Y&+/+:-/+=13%:74%:13%で、新生仔出生率が6%であることから、妊娠後期にさらに致死的要因の作用することが示唆された。胎仔は4%パラフォルムアルデヒドで固定し、5μmパラフィン包埋切片、10μm凍結切片を作成、通常のヘマトキシリンエオジン染色、ニッスル染色に加え、免疫組織化学的染色(nestin、TUJ1、neurofilament、tau1、MAP2、GFAP、L1、chondroitin sulphate proteoglycanなど)を施し、組織学的検討をおこなった。B6-6Dにおいては、胎齢12.5日における終脳、間脳、中脳、脳幹、脊髄神経の神経発生はほぼ正常であった。B6-L1KOマウスにおいては、TUJ1陽性の網膜神経節細胞数減少とpostoptlic recessの低形成が見られた。ただし、両群とも発生率が低く個体数が不充分であり、今年度も形態学的検索を続行する予定である。
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