研究概要 |
創傷治癒過程でDay3の肉芽組織の線維芽細胞にデルマトポンチンの遺伝子発現が認められ、コラーゲンと親和性を有するLumican、fibromodulin、decorinも同時に発現しているが、2週目にデルマトポンチンの発現はピークとなり、3週以降に減弱する。一方fibromudulinは3週目にその遺伝子発現はピークを迎える。今回作製したデルマトポンチンの抗体はウエスタンブロットでは検出可能であったが、組織標本には反応を示さなかったため、組織に沈着する時期は不明であった。デルマトポンチンKOマウスの創傷部のコラーゲン線維の直径は正常マウスと比べて不揃いで、互いに癒合した型が多く大型であった。 強皮症の皮膚培養線維芽細胞では正常ヒト皮膚培養線維芽細胞のI型コラーゲン遺伝子発現と比べてその上昇が見られるが、デコリン、thrombospondin、fibromodulin、5型コラーゲン、16型コラーゲンの遺伝子発現に差を認めることができなかった。一方デルマトポンチンの発現は正常ヒト培養線維芽細胞と比べて強皮症皮膚培養線維芽細胞では著しく低下していた。これらの培養細胞にIL-4を添加し、デルマトポンチンの発現を検討したところ正常ヒト培養線維芽細胞では添加の有無に関係なくその発現は変化しないが、強皮症皮膚培養線維芽細胞ではIL-4の添加により、減少した。 この原因はIL-4レセプターの発現が強皮症線維芽細胞では高発現していることが明らかとなった。 しかしTGF-βのreceptor-1,2には差を認めなかった。 線維形成の初期段階でデルマトポンチンの役割は成熟(lateral gross)に関わっていることが示唆された。
|