研究課題/領域番号 |
15591171
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 伸一 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20215792)
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研究分担者 |
長谷川 稔 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (50283130)
竹原 和彦 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50142253)
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キーワード | アルサス反応 / 免疫複合体 / 細胞接着分子 / ノックアウトマウス / 肥満細胞 / 好中球 |
研究概要 |
皮膚における免疫複合体によるアルサス反応は、ニワトリ卵白アルブミンに対するウサギlgG型抗体および陰性コントロールとして精製ウサギlgGをマウスの皮内に注射し、その直後に抗原であるニワトリ卵白アルブミンをマウス尾静脈から静注し、皮内で免疫複合体を形成させることによって惹起した。免疫複合体形成4時間後の皮膚の浮腫はE-selectinノックアウトマウスでは正常であったが、P-selectinノックアウトマウスでは野生型マウスと比較して有意に減少しており、その抑制はL-selectin/IGAM-1ダブルノックアウトと同程度であった(約50%)。抗E-selectin抗体や抗P-selectin抗体投与による抑制効果は、E-selectinノックアウトマウスやP-selectinノックアウトマウスにおける抑制とそれぞれほぼ同等であった。E-selectinノックアウトマウスに抗P-selectin抗体を投与すると、約80%の抑制がみられた。さらに、L-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトに抗P-selectin抗体と抗E-selectin抗体を投与すると、皮膚の浮腫は完全に抑制された。同様の結果は8時間後の紫斑形成でも認められた。これらの皮膚の浮腫や紫斑形成の抑制は、皮膚への好中球や肥満細胞の浸潤の抑制程度と相関していた。特に、L-selectin/ICAM-1ダブルノックアウトに抗P-selectin抗体と抗E-selectin抗体を投与した場合、好中球浸潤は残存していたが、肥満細胞浸潤はほぼ完全に抑制されていたことより、アルサス反応の抑制には肥満細胞の浸潤の抑制が重要であることが示唆された。以上より、皮膚アルサス反応には様々な細胞接着分子が共同して関与していることが示された。
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