1.紫外線によるDNA修復能を欠損する色素性乾皮症A群患者皮膚よりメラノサイトを単離、培養することに成功した。正常メラノサイトとの比較において、中波長紫外線(UVB)領域でapoptosisがより少量の紫外線量で誘導されたのに対し、長波長紫外線(UVA)領域では、細胞死の動態は正常メラノサイトとの間で差を認めなかった。 2.異なるメラニン種を有するDNA修復能欠損メラノサイトは、ユーメラニンおよびメラニン不含メラノサイトについては各遺伝背景をもつXPAKOマウスより単離した。DNA修復能が欠損し、フェオメラニンを含有すメラノサイトを得るために、XPAKOC57BL/6とyellow mouseとのbackcrossによりこの性質をもつメラノサイトが産生されるよう、マウスを作製した。 3.2により得られたマウスにUVAを週3回照射したが、腫瘍形成には至らなかった事より、UVAに加え、より酸化ストレスを誘導するような照射条件を設定することが必要であり、PUVA照射実験を開始した。 4.正常ヒトメラノサイト、ケラチノサイト、線維芽細胞を用いてHat&Cap法によるSCIDマウス背中での再構築皮膚を作成したところ、黒い皮膚を作成することはできたが、これは表皮ではなく、真皮においてメラノサイトが増殖するものであった。即ち、ヒトメラノサイトを表皮に維持するためには、何らかの維持機構、例えばSCF投与等が必要であるものと考えられた。
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