研究概要 |
(1)ゲノム解析 乾癬初期病変形成に重要であり、かつNKT細胞の機能を反映するkiller cell immunoglobulin-like receptor(KIR)遺伝子について、日本人の尋常性乾癬患者、関節症性乾癬患者を対象にPCR法を用いて遺伝子多型解析を行った。尋常性乾癬患者96例、健常者50例を用いたKIRフェノタイプの発現の解析により、特定のKIRフェノタイプと尋常性乾癬との間に有意な相関を新たに見出すことに成功した。その結果は論文発表を行った(J.Invest.Dermatol.、印刷中)。また、乾癬感受性遺伝子のひとつであるHCRに着目し、そのアミノ酸翻訳領域を主に日本人の尋常性乾癬患者約20例のSNPs解析を行った。まだ症例数は少ないものの、すでに尋常性乾癬と高い相関の見られる変異を認めている。しかもその結果は、すでに欧米人を対象に行った実験結果と合致するものもあれば、日本人に特有と考えられる変異もあり、今後のさらなる解析の必要性を支持するものであった。ハイリスクハプロタイプの同定に向け、現在も症例数を増やし検討を進めているところである。さらに、上記日本人乾癬患者においてHLA領域の遺伝子多型の解析を行い、乾癬感受性遺伝子間の相互関係を明らかにする試みに取り組むとともに、韓国人の尋常性乾癬患者においても同様な多型解析を始めている。これに関してはまだ予備実験段階であり、今後症例数を増やす予定である。 (2)プロテオーム解析 乾癬患者血清を用いた二次元電気泳動法を行い,新しいいくつかの蛋白スポットが存在することを見つけ出しており,現在、その追試を行うとともに、標的蛋白分子の抽出に取り組んでいる。
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