研究課題/領域番号 |
15591186
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中沢 正年 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20217699)
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研究分担者 |
市野 素英 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60271368)
南 陸彦 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60092342)
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キーワード | 強皮症 / Tskマウス / 免疫治療 / -GalCer / NKT細胞 / 樹状細胞 |
研究概要 |
Tsk/+マウスへのα-GalCer投与による治療効果: ヒト強皮症のモデル動物であるTsk/+マウスに、α-GalCer単独あるいはα-GalCer付加樹状細胞を投与し、その治療効果を検討した。平成15年度には、α-GalCerの投与を3週間隔で行い、ある程度の治療効果を得ることができ、第33回日本免疫学会学術集会で報告した。本年度は、より有効な投与方法を検討した。その結果、Tsk/+マウスにα-GalCerを1週間隔で4回投与した後、3〜4週間隔で投与することで、肺気腫症状の顕著な改善が得られることが分かった。また、α-GalCer単独投与に比べα-GalCer付加樹状細胞の投与で、より有効な治療効果が得られることが分かった。α-GalCer単独あるいはα-GalCer付加樹状細胞投与による治療により肺でのIFN-γ、TNF-α産生量が低下していた。IFN-γは肺気腫形成に関与しているとの報告もあり、これらのサイトカイン産生低下が、肺気腫症状の改善に関与しているのではないかと考えられる。一方、α-GalCer単独投与とα-GalCer付加樹状細胞の投与による症状改善の差は、治療後のNKT細胞数の差によるのではないかと考えている。Tsk/+マウスでは正常マウスに比べ、NKT細胞が増加していることが知られているが、α-GalCer付加樹状細胞による治療で、このNKT細胞数がほぼ正常マウスと同程度にまで減少した。しかし、α-GalCer単独投与ではNKT細胞数は高値を持続した。現在、このNKT細胞の機能を解析している。また、皮膚症状改善のメカニズムとして、脾臓におけるTh1反応の増加があげられる。α-GalCer投与により脾臓細胞中のIFN-γ産生細胞が増加していることが観察された。これらの結果は第34回日本免疫学会学術集会で報告した。また、α-GalCerを用いた治療後の肺での免疫応答と全身性免疫応答の違いが、何に起因するかを現在検討している。また、Tsk/+マウスの病体形成への樹状細胞の関与を明かにしたので、治療における樹状細胞の役割を検討していきたい。
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