研究分担者 |
上出 康二 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50176608)
古川 福実 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40156964)
山本 有紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (90316117)
貴志 知生 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10336878)
大谷 稔男 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10326366)
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研究概要 |
1:ケミカルピーリングにおけるグリコール酸の効果 ケミカルピーリングの機序として、皮膚のバリア障害により生じるサイトカインによる作用と、試薬のメラノサイトや線維芽細胞への直接作用がin vitroの実験で報告されている。試薬の作用を人皮膚で確認するために、同じ濃度、pHに調節した、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酢酸を長期塗布し、組織学的及び免疫組織学的に検討した結果、グリコール酸と乳酸で、表皮肥厚、メラニンの減少、真皮膠原線維の増加、コラーゲン1、プロコラーゲン1の増加を確認した。 2:トリクロロ酢酸とフェノールの人皮膚に及ぼす影響 塗布することによる皮膚への進達度や組織学的変化を、成人皮膚を用いて検討した。塗布後、2時間,6時間,12時間,1,2,7日目に皮膚を生検して、ケラチン6,7,10,16、インテグリン、カドヘリン等の免疫染色を行って、創傷治癒の経過をみた。TUNEL法で、真皮血管や表皮細胞のアポトーシスの動態をみた結果、フェノールでは早期より、真皮血管内皮細胞に発現し、トリクロロ酢酸では表皮細胞に発現したことから、今まで同じ作用として考えられていた2つの試薬の機序が異なることを明らかにした。なお、トリクロロ酢酸は、日常的に頻用される40または60%を用い、フェノールは、無水性のものを用いた。 3:皮膚悪性腫瘍に対するケミカルピーリング治療の効果 外科的処置が出来ない皮膚癌の患者に治療として行い、経過を観察した。治療後1〜3年の経過観察で、完治が可能であると考えられるのは、日光角化症、ボーエン病、表在性の基底細胞癌の患者で、また、その中で治療を中止し、外科的処置をする必要性を認めた4症例(日光角化症2例、ボーエン病2例)を病理組織学的に検討中。
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