研究概要 |
らい菌の上皮系細胞への侵入に関わるmce1A領域のactive sequenceを明らかにする事を目的に検討を行った。昨年のトランケート蛋白を用いた解析結果を基に、らい菌mce1A領域(1326bp、442aa)の316(105aa)〜921bp(307aa)の領域を316〜531bp、532〜753bp、754〜921bpに3分割し、各領域をAIDA発現ベクターに組み込みAdhesin Involved in Diffuse Adherence(AIDA)法にて大腸菌の菌体表面に表出させた。各組み換え大腸菌を単層培養したHeLa細胞及びBEAS-2B細胞に加え、菌の細胞内への侵入を電子顕微鏡を用いて観察した。また、各組み換え大腸菌を抗r-lep27KDa抗体を用いて処理し、単層培養したBEAS-2B細胞に加え、抗体による侵入抑制効果をコロニーカウント法によって検討した。その結果、316〜531bpの領域でのみ上皮系細胞への侵入が観察され、その侵入活性は抗体により抑制されることが明らかとなった。さらに316〜531bp内の一部ペプチド(388〜453bp)を合成し、colloidal gold particlesにコートして、BEAS-2B細胞への侵入を電子顕微鏡を用いて観察した結果、合成ペプチドにもBEAS-2B細胞への侵入活性が認められた。これらのことから、active sequenceは316〜531bpの領域の中でも388〜453bpに存在する事が示唆された。来年度は今年度の結果を踏まえ、316〜531bpの領域を316-387bp,388-453bp,454-486bp,487-531bpに4分割して、それぞれ人工ペプチドを合成し、らい菌の上皮系細胞への侵入に関わるmce1A領域のactive sequenceを決定する予定である。
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