ウィルス感染により活性化、増殖するCD8 T細胞の多くはウィルス抗原特異的T細胞であることが、テトラマーを用いた解析により明らかになってきた。これらの細胞の一部はアポトーシスから逃れ、メモリーT細胞として局所に残り生体防御を担う一方、組織傷害をも起こしうる可能性があることを我々は報告している。近年、そのメモリーT細胞を、リンパ節を循環するcentral memoryと皮膚・粘膜などの末梢組織に常在し局所免疫に携わるeffector memoryとに分ける考え方が提唱され、ウィルス特異的T細胞は恐らくeffector memory細胞として局所に残存するようになると考えられている。 我々は、薬疹の特殊系である固定薬疹の病変部には、このeffector memory細胞が常在していることを明らかにしているが、この常在effector memory細胞がどの程度の期間、局所に存在しうるのかについて検討を行った。Effector memory CD8 T細胞活性化2-3週間後には、病変部局所に活性化前と同様のeffector memory細胞が常在していた。さらに、活性化4年後の病変部においても同様のeffector memory細胞がsilentの状態で常在していることが確認された。これらeffector memory細胞がapoptosisから逃れ、病変部局所でsurviveするためには、IL-7やIL-15といったサイトカインの関与が必要とされている。実際、基底細胞に一致してIL-15の発現が確認され、皮膚はeffector memory細胞が生存しやすい部位であるといえる。
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