研究概要 |
BALB/cマウス骨髄細胞をrecombinant mouse GM-CSF単独で培養して誘導した未熟樹状細胞は、TNF-αによる成熟刺激に対してサブスタンスP(以下SP)を種々の濃度(1x10^<-5>,1x10^<-6>,1x10^<-7>M)で添加すると、24時間後のCD80陽性細胞の割合がSP濃度1x10^<-6>Mと1x10^<-7>M添加群において優位に抑制された。一方でLPSとIFN-γによる刺激では優位な差は認められなかった。培養上清中のIL12p70、IFN-γ、IL-10、IL-2産生をELISAにて検討したが、有意な差は認めなかった。酵素処理で得られたマウス表皮細胞からsortingで分取した表皮ランゲルハンス細胞について、同様にLPS、IFN-γ、TNF-αによるmaturationへの影響ならびにサイトカインの産生を検討したがいずれも有意な差を認めなかった。ランゲルハンス細胞以外の樹状細胞では、ある濃度のSPによって抗原提示能が抑制される可能性を示唆された。一方ランゲルハンス細胞のmigrationに対する影響について、種々の濃度のSPを皮下注したマウス皮膚にFITCを塗布し、24時間後に所属リンパ節に移動してきたFITC陽性のランゲルハンス細胞の数をFCMにて計測したが、SP濃度に関わらず有意な差は認めなかった。OVA感作マウスの脾細胞に対しOVAをpulseした培養樹状細胞とランゲルハンス細胞によるリンパ球刺激試験で、種々のSPを添加してその影響を検討した。CD4陽性T細胞では有意な差は得られなかったが、培養樹状細胞においてCD8陽性T細胞ではSPのある濃度で増殖反応の促進が認められた。抗原特異的な細胞障害性T細胞の活性化にSPの影響が示唆された。
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