統合失調症モデル動物の作成として、ウィスター型雄性ラットに1-10mg/kgのフェンサイクリジンを単回投与し、投与後1時間目に断頭後、大脳皮質を取り出し、そこからmRNAを抽出した。抽出したmRNAより合成した2本鎖cDNAから、種々の分子生物学的手法を用いて10塩基対の短い断片(タグ)を分離し、それらを繋げて長い分子にした後、オートシーケンサーを用いて塩基配列を決定し、結果をSAGE専用ソフトで解析した。 フェンサイクリジン投与群及び対照群から作成したSAGEライブラリーを比較し、遺伝子発現の変化を解析した結果、Expressed Sequence Tag(EST)などのこれまでに機能が同定されていない未知遺伝子が多数含まれていた。既知の遺伝子としては、フェンサイクリジン投与により発現が増加した遺伝子群にはTyrosine 3-monooxygenase/tryptophan 5-monooxygenase activation protein、Rat mRNA for alpha--tubulin、Selenoprotein W muscle 1、減少した遺伝子群にはSuperoxide dimutase 1、dimethylarginine dimethylaminohydorolaseなどがあり、統合失調症には神経伝達関連因子、細胞骨格因子、アポトーシス関連分子などが関わっていることが示唆された。
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