統合失調症の病因仮説として神経回路(シナプス形成)の機能的異常が想定し、脳由来神経栄養因子(BDNF)などのサイトカインと神経生理学であるプレパルスインヒビション(PPI)の関係を評価することにより、統合失調症の病因・病態にける生化学的異常と神経回路の異常を結びつける研究を計画した。 初年度にはまず、統合失調症の患者に協力を依頼し、採血およびPPIの測定・症状評価を行うことと、さらに協力をいただいた患者と性別、年齢をマッチさせた正常対象者から採血およびPPIを実施することを計画していた。まずPPI装置の測定操作の標準化の為に正常対象者のPPIの測定を15例行った。その測定データを解析したが結果が安定しておらず被験者に依存したものではなく、測定の機器もしくは測定方法によるものと考えられた。日本の代理店である(株)ニューロサイエンス社やさらに製造元の米国サンディエゴインストルメント社に問い合わせ、調整を試みているが今のところ解決されていない。国外の施設では同機器を使用しての報告が多数あり実験デザインとしては無理がないものと考えられ、調整が済み次第患者へ協力を依頼し測定を再開する予定である。
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