平成17年度にはまずMachmaker Library Construction Kit(Clontech)を用い、ラット線条体に発現するmRNAをもとにcDNA libraryを作製した。そしてこのcDNAライブラリーを用いYeast Two-Hybrid法によってVMAT-2のカルボキシ末端部分に結合する蛋白のスクリーニングを行なった。この結果68個のpositive cloneが得られたが、残念なことに昨年と同様、これらのクローンの中には転写に関わる遺伝子が含まれる場合が殆どであり、VMAT-2の機能を調節する因子の候補として強く示唆されるものを認めることはできなかった。もちろん転写因子が結合蛋白である可能性を否定することはできないが、転写因子との結合に生理的な意義を求めるならば、少なくとも両者の結合をin vivoで証明しておくことが求められるだろう。そこで現在はVMAT-2抗体を用いた免疫沈降を行ない、線条体においてVMAT-2と蛋白複合体を形成している蛋白群を質量分析によって同定することを試みている。この質量分析の結果示される蛋白がスクリーニングによって同定されたものと一致すれば、生理的なVMAT-2結合蛋白として機能的な解析を進める価値があると考えている。研究費の期間内には論文として発表するだけの十分なデータが得られなかったが、今後も引き続き質量分析による新たなアプローチを続けていく所存である。
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