βアミロイドはミクログリアを活性化してTNF-αなどの炎症性サイトカインの産生分泌を誘導し、これらの炎症性サイトカインはさらにミクログリアを活性化することによって連鎖的なミクログリア活性化反応が生じると考えられている。この過程で一酸化窒素(NO)、活性化酸素(O2-)あるいは過酸化水素(H2O2)などが産生し、前2者に由来するperoxynitrite(ONOO-)や後者に由来するhydroxy radical(OH-)などのフリーラジカルは極めて強いニューロン毒性を有しており、このニューロン変性作用によってアルツハイマー病が進行する可能性が指摘されている。βアミロイドのニューロン毒性発現にはその線維化が必須と考えられていたが、最近では線維化したβアミロイドだけではなく、線維形成途中の低分子量のβアミロイド重合物にもニューロン毒性があることが証明されている。今回の研究では線維化程度の違いによるβアミロイドで処理を行ったミクログリアの特性を比較し、線維形成途中の低分子量のβアミロイド重合物にもミクログリア活性化能があることを見出した。更に、phosphatydilserine(PS)liposomeのミクログリアTNF-αやフリーラジカル産生抑制を指標として、ミクログリア活性化抑制効果を証明し、その細胞内機序をも明らかにした。
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