HGFトランスジェニックマウスを用いた不安研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15591232
• 研究機関: 大分大学(医学部)
• 研究代表者: 穐吉 條太郎 大分大学, 医学部, 助教授 (00159344)
• 研究分担者: 永山 治男 大分大学, 医学部, 教授 (70100899) ; 堤 隆 大分大学, 医学部, 助手 (60284791) ; 五十川 浩一 大分大学, 医学部, 助手 (10264334)
• キーワード: HGF / 不安 / トランスジェニックマウス

研究概要

Hepatocyte Growth Factor (HGF)肝臓成長因子は、強力な血管由来性の成長因子である。HGFは、肝臓以外にも脳に存在することが確認されている。最近では、HGFは脳梗塞との関連も指摘され、脳虚血の間に神経の中に誘導されることも報告されている。HGFは、海馬における神経細胞死を保護することも見いだされている。
そこで我々は、HGFのトランスジェニック作成の第一歩として脳におけるHGFと不安の関連について調べた。
5週目のWistar系雄性ラットを用いた。ラットは、室温・湿度が一定の部屋で飼育された。ラットは、chloral hydrateで痲酔を行い、HGFをOsmotic Mini pumpを用いてラットの側脳室に投与し、不安動物モデルである高架十字迷路、明暗箱、恐怖条件付けテストをおこなった。その結果、高架十字迷路ではHGFはTime in open armでの滞在時間を延長し、Time in closed armでの滞在時間を短縮し、Head dipsを増加させた。恐怖条件付けテストでは、Freezing Numberを減少させた。2つのグループ間では、行動量には差はみられなかった。これらの結果は、HGFを脳室内に投与するとラットの不安が減少することが明らかになった。よって、HGFは、不安と強く関連していることが示唆された。この結果をふまえて、HGFトランスジェニック・マウス研究に発展させたい。