研究概要 |
1.潜在的発現活性型HERVの同定 5つのHERVファミリーについてEST database(dbEST)のBLAST検索を行い、600個を回収した。このうち、111個が脳と何らかの関連性がある組織(または細胞)から作製されたcDNA libraryに由来するものであった(癌または株化細胞,77;正常組織,34)。これらから4つを抽出し、胎児脳RNAを用いたRT-PCRのクローン化産物の配列解析で確認を行った。最終的に脳での潜在的発現活性能を持つHERVとして同定されたのは22番染色体(22q12)のHERV-Hと1番染色体(1q21-q22)のHERV-K102の2つだけであった。包括的検索の必要性から、戦略を転じdbESTの整理から始めることにした。2004年2月現在登録の5,471,624個のESTのうち、Simpsonらからの823,958を除いた4,647,666個のESTを整理し、脳と関連する組織由来のEST 440,415個のmini-dbESTを作製した。このmini-dbESTから、22のHERVファミリーについてBLAST検索及び配列解析を行って候補を絞る作業を進めている。 2.近傍遺伝子の発現制御への干渉の検証 22q12のHERV-Hのread-through転写物によるRNAiを介したシナプシン3(SYN3)への干渉を、テラトカルチノーマ株化細胞を用いて検討中である。ルシフェラーゼ遺伝子の3'端にSYN3のexon13を組み込み、exon13のanti-sense strandを発現するようにしたプラスミドと共トランスフェクションして40%の活性抑制が得られた。read-through転写物の存在とこれによるSYN3のPTGS(post-transcriptional gene silencing)を証明するコンストラクトを作製中である。
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