研究課題/領域番号 |
15591238
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
相馬 仁 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70226702)
|
研究分担者 |
小澤 寛樹 長崎大学, 医学部, 教授 (50260766)
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50128518)
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70161784)
|
キーワード | アネキシン / アポトーシス / Ca^<2+>-イオノフォア / 転写調節因子 / アルコール障害 / アルツハイマー病 / ストレス障害 |
研究概要 |
アルコールや依存形成薬物は、細胞にストレスを与え、またCa^<2+>やcAMPを介する細胞内情報伝達系に異常をもたらし、細胞障害(アポトーシス)を誘導する。これまでの研究で次の結果を得た。 1.すでに培養細胞で、アルコール濃度に依存して、リン脂質・Ca^<2+>結合蛋白質アネキシンIVの発現が増大し、転写調節因子NFκBの活性化が起こることを明らかにした。本研究で、Ca^<2+>結合部位に変異を加えた変異体を用いた、レポータージーンアッセイから、アネキシンIVのCa^<2+>結合部位がNFκBの活性化に必須であることを明らかにした。 2.NFκBは細胞質でIκBと複合体を形成し不活性化されているが、消化酵素によるIκBの分解で遊離したNFκBは、核内に移行し活性を持つ。アネキシンIVによるNFκBの活性化は、IκBの分解亢進によることが判明した。また、アネキシンIVはNFκBと結合することも示され、NFκBの活性化に係わる可能性がある。 3.Ca^<2+>-イオノフォアによる細胞障害で、アネキシンIVおよびアネキシンVの発現が増大し、特にアネキシンVは細胞外へ分泌されることがわかった。アネキシンVの生理的意味を探るためにアネキシンVを強制発現したHEK293細胞を用いてCa^<2+>-イオノフォアによるCa^<2+>障害を与えた結果、細胞障害性は減少した。細胞内で発現増大したアネキシンVがCa^<2+>-キレート剤として働いたものと考えられる。 4.しかし、ツニカマイシンによる小胞体ストレスでは逆にアネキシンVの強制発現で細胞障害性は増大した。一方、H_2O_2による酸化的ストレスに対して、アネキシンVの影響は認められなかった。 我々は、アルコール依存症やアルツハイマー病でアネキシンアイソフォームの発現が増大することを報告しているが、アネキシンの生理的意味を更に追求している。また、神経細胞病態に係わる他の因子について網羅的検討を進めている。
|