研究概要 |
今回われわれは、精神活性物質で、肝臓のCYP2A6およびCYP2D6によって、代謝され、依存性が高いニコチン(タバコ)について、その依存(習慣性の喫煙)行動発症のメカニズムについて調べた。すなわち、脳内で嗜好や躁うつなどの感情に関与するといわれるセロトニンに注目して、その受容体の遺伝子多型を調べ、一方でFagerstrome Test for Nicotine Dependence(FTND)でニコチン依存度を測定し、ニコチン依存とセロトニン受容体遺伝子多型との相関について解析した。インフォームdコンセントが得られた日本人の喫煙者群82人および非喫煙群125人を対象に調べたセロトニン受容体HTR2Aの遺伝し多型は102T/C,および-1438G/Aで、PCR法を用いて決定した。解析の結果、102T/C遺伝子多型ではFTND6<のヘビースモーカーはT alleleの出現頻度は58.3%でFTND5>の喫煙群や非喫煙群の55.6%、52.4%と有意差は見出されなかった。また同様に-1438G/A遺伝子多型ではG alleleの出現頻度はFTND6<のヘビースモーカーはでは58.3%でFTND5>の喫煙群や非喫煙群の54.8%、51.6%と有意差は見出されなかった。以上のことから、習慣性の喫煙行動すなわち、ニコチン依存発症の機序において、嗜好や感情に関係する神経伝達物質セロトニンの受容体HTR2Aの遺伝子多型102T/C,および-1438G/Aに関しては、そのリスクファクターではない可能性が高いことが示された。
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