研究課題
今回我々は、テーラーメイド医療の一助として、肥満に関連する倹約遺伝子(β_3-ADRとPPARγ)および非定型抗精神病薬オランザピンの代謝に関与する薬物動態学関連遺伝子(オランザピン代謝酵素CYP1A2とCYP2D6)と、オランザピンの薬理効果や副作用の発症の脆弱性との相関について解析を行った。精神科に入院中の統合失調症の患者で、研究の趣旨を説明し、インフォームド・コンセントを得られたオランザピン服用中の患者16名を対象とし、β_3-ADRはKarine(1995)らの方法に基づきPCR-RFLP法により制限酵素Mva Iを用いて判定した。PPARγ2はMoriら(1998)の方法に基づきPCR-RFLP法により制限酵素Bst UIを用いて判定した。CYP2D6*5はEguchi(2000)らの方法を用いた^<11)>。CYP2D6*10はKimuraらの方法に基づきPCR-RFLP法により制限酵素Hph Iを用いて判定した^<18)>。CYP1A2*1CとCYP1A2*1FはChida(1999)らの方法に基づきPCR-RFLP法によりそれぞれ制限酵素Dde I、Aps Iを用いて判定した。本研究の遺伝子多型および精神薬理学的解析から、CYP2D6欠損型遺伝子多型保持者はオランザピンの高血中濃度を示したが、それが必ずしも高血糖や体重増加にはつながらず、血糖値の上昇や体重の増加といったオランザピンの副作用と倹約遺伝子と薬物動態学関連遺伝子の多型においても相関はみられなかった。本研究の結果から、血糖値の上昇や体重の増加といった副作用と倹約遺伝子(β_3-ADR, PPARγ2)、薬物動態学関連遺伝子(CYP2D6,CYP1A2)の多型において関連はみられなかったが、今後はこれ以外の糖代謝や肥満に関連する遺伝子について調査し、更なる研究を進める必要があると考える。
すべて 2006
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精神医学 48
ページ: 29-35
harmacogenomics J. 5
ページ: 179-188