研究課題/領域番号 |
15591249
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鷲塚 伸介 信州大学, 健康安全センター, 教授 (60313855)
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研究分担者 |
加藤 忠史 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (30214381)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 双極性 / ミトコンドリア / 遺伝子多型 / 遺伝子発現量 / プロモーターアッセイ / 気分安定薬 / 治療 / NDUFV2 |
研究概要 |
我々は、以前に双極性障害との関連が報告された、ミトコンドリアDNA10398多型について、双極性障害治療薬との反応性を調べた。その結果、ミトコンドリアDNA10398A多型を持つと、双極性障害の治療薬の一つである炭酸リチウムに対する治療反応性が良いことを見出した。 また、我々はかつてミトコンドリア複合体Iのサブユニットをコードする核遺伝子であり、双極性障害との連鎖が指摘される18p11に位置するNDUFV2について、双極性障害との関連を調べ、-602G>A多型と双極性障害との関連を見出した。このため遺伝子発現に関与する上流調節領域についてさらなる多型検索を行い、同領域に存在する複数の多型が双極性障害と関連していることを認めた。さらに-602G>A、-3542G>A遺伝子多型より構成されるハプロタイプが日本人で双極性障害と関連することを見出した。この所見は米国人サンプルにおいても確認された。プロモーターアッセイにより、-602G>A多型は転写活性を変化させることも確認した。 さらに、ミトコンドリア複合体Iの他のサブユニットに関しても、双極性障害との関連がある可能性を考え、多数のサブユニット遺伝子について、培養リンパ芽球で発現量の相対的定量を行ったところ、ほとんどの遺伝子に関して、健常者サンプルに較べて双極性障害患者で低下していることを見出した。しかし、これらの遺伝子発現量はNDUFV2の発現量と相関しており、最も顕著な低下が見られたのはNDUFV2であった。このときミトコンドリアに共通する転写調節因子関連遺伝子の発現量との相関は認めなかった。このことから、NDUFV2の遺伝子多型による発現量低下が、他のサブユニットに影響していると考えられた。 以上の所見からNDUFV2遺伝子の上流調節領域の多型は双極性障害の遺伝的危険因子であることが示唆された。
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