研究概要 |
本研究は2番染色体のp11とq13の間で染色体逆位が起こっており、自閉症と診断された症例の病因遺伝子を同定することにより、病因が遺伝学的に多様で、多因子遺伝病と考えられる自閉症の一病因遺伝子を解明することを目的とする。具体的には、本症例の染色体断点に座位する病因の候補遺伝子を絞り込み、その遺伝子群の詳細な解析を行って、本症例の病因遺伝子を同定し、さらに血縁関係のない同症状を有する自閉症例群において、遺伝子変異を解析して、自閉症の一病因遺伝子の脳での発現、機能等を解明するものである。 初年度にあたる15年度は、2番染色体の各種BACクローンを用いたFISH法による染色体逆位の断点部分の詳細な染色体分析を行った。断点部位の絞り込みは、BACクローン(21P18,50B16,67L14,81F3,96K18,153P14,217P16,297N14,322F4,330B16,380G16,399B17,438K19,450E9,554H10,566O4,559A1,592G13,685N3)を用いて開始し、短腕側の断点部位は81F3と21P18の間に、長腕テロメア側の断点は330B16と217P16の間に存在すると推定された。現在、これらの領域に存在すると考えられる遺伝子群をデータベース上で検索し、病因候補遺伝子をリストアップし、一部遺伝子についてはPCR等を用いてcDNAを増幅し、患者ゲノムでのサザン解析の準備に入っている。今後、さらに断点部位を絞り込むと同時に、得られる候補遺伝子のサザン解析等により、患者ゲノムの遺伝子異常の同定を目指してゆく。また病因遺伝子の同定に不可欠な同一症状の患者群の検索も順次進めている。
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