研究課題/領域番号 |
15591253
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
柏倉 幾郎 弘前大学, 医学部, 教授 (00177370)
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研究分担者 |
阿部 由直 弘前大学, 医学部, 教授 (10167950)
高橋 恒夫 東京大学, 医科学研究所・細胞プロセッシング部門, 教授 (50291307)
佐藤 敬 弘前大学, 医学部, 教授 (20125438)
桑原 幹典 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10002081)
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キーワード | 放射線 / 造血幹細胞 / サイトカイン / 巨核球前駆細胞 / 再生 / 血小板 |
研究概要 |
放射線曝露(2Gy)したヒト臍帯血造血幹細胞に対し、造血初期過程に作用するサイトカインであるトロンボポエチン(TPO)、ステムセルファクター(SCF)、インターロイキン-3(IL-3)およびflt-3リガンド(FL)を組み合わせ、無血清液体培養法(14日間)で巨核球・血小板造血の再生誘導を試みた結果、以下の点が明らかになった。 1.有核細胞数は、培養開始時に比べ非照射細胞で130〜630倍、放射線照射細胞では20〜100倍にそれぞれ増加した。最も強い増加作用はTPO+SCF+IL-3+FLのサイトカイン4種類全てを用いた組み合わせで得られた。 2.回収された細胞表面のCD34、CD41およびCD45抗原の発現をフローサイトメーターで解析したが、非照射・照射間で有意な差は見られなかった。 3.巨核球前駆細胞総数は、培養開始時に比べ非照射細胞で30〜130倍、放射線照射細胞では35〜60倍にそれぞれ増加し、その増加率は有核細胞の増加率より低かった。 4.有核細胞数とフローサイトメーターの結果から総巨核球数を計算すると、その値は培養開始時に比べ非照射細胞で40〜135倍、放射線照射細胞では10〜30倍にそれぞれ増加した。 5.培養液中の血小板数を測定すると、非照射・照射細胞のいずれにおいても、TPO+IL-3の組合せが有意に血小板産生を促進した。他の組合せ間には大きな差は見られなかった。 以上本年度の研究結果から、ヒト造血幹細胞を放射線照射すると、非照射細胞に比べ細胞増殖能は著しく低下するものの、造血幹細胞から巨核球系への分化増殖ならびに成熟巨核球から血小板産生はほぼ正常に再生誘導出来る可能性が示唆された。
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