研究概要 |
平成17年度は1.5Tの臨床診療用MRI装置(Siemens社製Magnetom Symphony)、3Tの臨床研究用MRI装置(Siemens社製Magnetom Trio)を用いて正常ボランティアの拡散テンソル画像撮影を合計30例行い、拡散テンソル画像から白質神経束描出(tractography)を作成してその描出能を比較した。3TのMRIが本来持っている高い高磁場特性による高い信号・雑音比を持った画像がtractographyにおいても有効であり1.5Tと比べて描出能が高いことを証明した。この結果はRadiology誌に報告した。(Okada T, Miki Y, et al. Radiology 2006;238:668-678.) 脳腫瘍などの脳占拠性病変症例においては特に3TのMRIの利点を生かして錐体路や視放線などの術前tractographyを作成した。ナビゲーターガイや覚醒下手術などの手法を用いた脳機能分布の推定とtractographyの対比参照を行い、術中の錐体路推定にtractographyが有効であることを見出した。この結果はRadiology誌に掲載予定である。(Okada T, Mikuni N, Miki Y, et al. Radiology, in press.)今後も脳占拠性病変の切除範囲拡大と術後機能の温存という相反する目標をより高い次元で実現するため、従来の電気生理学的検査に加えてtractographyを利用した白質機能マッピングへと研究を進めていく予定である。
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